第137回 復興構想が決定、自然エネルギーの効率、省エネの推進を!
第137回 復興構想が決定、自然エネルギーの効率、省エネの推進を!東日本大震災の本格復興の構想を議論する政府の「復興構想会議」は6月25日、首相官邸での会合で「復興への提言~悲惨のなかの希望」を決定、菅直人首相に提出した。復興財源確保のための所得税や法人税などの臨時増税の検討を求めたほか、災害時の被害を最小限に抑える「減災」の理念を重視し避難路整備などを重視するよう提起した。また、被災地を地形や被害状況に応じて5分類し住居や都市機能の高台移転などを勧めた。地域限定で規制緩和や税制優遇を認める「復興特区」を創設し、水産業などで活用するよう求めた。再生可能な自然エネルギーの導入促進も明記した。
再生可能な自然エネルギーの導入促進では、特に原子力発電所の事故被害のあった福島を風力発電や太陽光発電、小水力発電、木質バイオマスなど自然エネルギー導入の先がけの地、「スマートビレッジ」とすることとなった。
ここでは、効率の良い再生可能エネルギーや省エネルギー技術に関する革新的技術開発の取組みによる、抜本的な発電効率の向上やコスト低減が急務となり、機械効率を高めコストパフォーマンスを上げるメカ技術が重要となる。
6月22日~24日に開催された「第15回機械要素技術展」でもそうした再生可能エネルギーの効率を高める機械要素技術が多数展示された。
たとえば太陽光発電ではナブテスコが、太陽の位置に合わせて電池の向きを変え、発電量を2~3割増やす太陽光追尾装置の開発を進めているが、たとえばこの装置での適用をイメージしてケーブルを減速機内部に通せて省スペース化が図れる中空機構を採用したうえ、アンギュラ玉軸受を組み込むことで外部荷重を支持し高剛性・モーメント容量大により旋回軸への使用が可能な精密制御用高剛性減速機などを出展した。
また、三木プーリは風力発電のブレードと発電機を結合するゴムカップリングを展示した。風力発電機では増速機と発電機との間を連結して軸トルクを伝達するとともに、両軸のミスアライメントを吸収する軸カップリングが用いられているが、ゴムカップリングではゴムの弾性を、樹脂カップリングは樹脂の弾性を利用して、衝撃や振動を減衰・吸収する。高フレキシブル、低騒音、潤滑不要なため、高度80m以上という取り付け位置にあり保守が難しい風力発電機で高効率な動力伝達とロングメンテナンス化を実現している。
その他、同展では摩擦を低減し省エネルギーにつなげる表面改質技術やベアリング技術、潤滑技術などが出展された。
復興構想会議の提唱するスマートビレッジでは、風力発電、太陽光発電、バイオマスなど再生可能エネルギーシステムのほか、それらエネルギーの変動に合わせた需給バランスの調整を行うエネルギー・マネジメントシステムの構築も求められる。わが国の得意とする再生可能エネルギーによる「先駆けの地」が、上述のようなメカ技術に支えられつつ、復興の新しい形、わが国の活力を世界に向け示していくことに期待したい。