第126回 nano tech 2011/ASTEC 2011に見る、表面改質/計測・評価技術
第126回 nano tech 2011/ASTEC 2011に見る、表面改質/計測・評価技術 「nano tech 2011 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」や「ASTEC 2011 国際先端表面技術展・会議」、「METEC2011 第40回表面処理材料総合展」など9展が2月16日~ 18日、東京ビッグサイトで同時開催された。
グリーンナノテクノロジーでDLCなど薄膜技術を展示
今回の9展示会共通テーマは「グリーン・ナノテクノロジー 10-9がつくる環境力」。10のマイナス9乗メートルはナノメートルで、グリーン・ナノテクノロジーとは、ナノメートル(nm)レベルの薄膜や微粒子を使って、自動車関連の次世代二次電池、LED照明、新エネルギー技術、土壌・水質浄化など環境問題の解決に役立つ製品を創出する技術。
今回は主にASTEC2011 やMETEC2011でナノレベルの表面改質技術が、nano tech 2011でカーボンナノチューブなどのナノ粒子や、微粒子や薄膜の計測・評価技術が展示された。
出展されたグリーン・ナノテクノロジーとしては、たとえば潤滑剤に頼らずフリクションを低減することで省エネに、耐摩耗性を高めることで省資源化につなげるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜がある。
ナノテックでは単に硬質で摩擦係数が低いDLCにとどまらず、DLC薄膜の特性を物性により分類したICF(Intrinsic Carbon Film:真性カーボン膜)を開発、たとえばクロムめっきの代替や各種金属溶出防止膜として、高硬度、低摩擦係数、耐摩耗性で、めっきからの代替を可能にすべく大面積の成膜が可能な環境調和型ICFや、フッ素(F)ドーピングとコーティング条件の工夫で、水を弾く特性を持たせた撥水性ICFなどを提起している。
プラズマイオンアシストでは微細複雑形状に成膜でき流路側面、底面に均一な成膜が可能で、高い耐食性と金と同等の接触抵抗を持ち、燃料電池セパレーターなどへの適用が可能な高導電性DLCなどを出展した。
薄膜の計測・評価技術
DLCなど薄膜の計測・評価技術としては、0.01nmの押し込み分解能を持つためバルク材の影響を受けずに薄膜自体の機械的強度を測定できるナノインデンターなどが、東陽テクニカから展示された。
この機械的特性を非接触で測る手法としてまた、DLC薄膜からの反射光の偏光状態から、硬さや密度と相関性がある膜の屈折率や消衰係数が求められる分光エリプソメータなどの展示も見られた。
また、先の撥水性ICFなどのような膜の撥水性を見る手法として、解析ソフトウェアと組み合わせて、動的接触角(拡張/収縮、滑落・界面張力の測定や表面自由エネルギー解析も可能とする各種接触角計が、協和界面科学から出展された。
DLC薄膜に照射した光の散乱光(ラマン散乱光)を分光測定するラマン分光装置も展示、DLC膜の構造解析の中でも、DLC膜の諸特性に大きな影響を及ぼす水素濃度を把握しDLC薄膜を作り分けるのに有効な手法として、提案された。