第55回『トランスポーター』
第55回『トランスポーター』in
本作は、ワケアリ荷物を運ぶプロの運び屋が活躍するリュック・ベッソンプロデュースのカー・アクション・シリーズである。
高額の報酬と引き換えにどんな依頼品でも目的地まで運ぶプロの運び屋、フランク(ジェイソン・ステイサム)。ルールは、契約厳守、名前は聞かない、依頼品は開けない、の三つ。ところがフランクは、依頼された重さ50kgくらいの動く荷物を開けてしまう。荷物の中身は、何と手足を縛られたアジアン・ビューティー、ライ(スー・チー)だった。目的地に着いたフランクに中身を知られた組織のボス、ウォール(マット・シュルツ)は、さらなる依頼を装いフランクに渡した時限爆弾入りトランクで愛車BMW735iは木っ端微塵に吹き飛んでしまう。フランクは危うく難を逃れるが、次々と組織の激しい追っ手が迫る。
フランクが組織に追われるままバスの屋根に飛び乗り、そのままバス操車場に入って格闘する場面がある。多勢に囲まれたフランクは、ドラム缶を倒してオイルをぶちまけ、相手は地面のオイルに足をとられるが、フランク自身も足元がおぼつかない。そこで隅に置いてあったロードバイク用のビンディングシューズを履くのである。ビンディングシューズはペダリングの回転を安定させるためシューズを瞬間的にペダルに固定させるもので、靴底に取り付けられたクリートという楔となる金具がビンディングペダルにはまって結合される。このクリートの楔が床に撒かれた油の膜を破断し、地面をグリップして態勢を整える。もちろんビンディングシューズで蹴りを食らわせれば、立派な凶器である。
作品でBMWもベンツも惜しげもなく吹っ飛ばされボロボロになっていくが、今回のワケアリ荷物はピッカピカ、実にキュートである。