第37回 INTERMOLD 2009が開催、金型加工技術が一堂に!
第37回 INTERMOLD 2009が開催、金型加工技術が一堂に!日本金型工業会は4月8日~11日、「INTERMOLD 2009(第20回金型加工技術展)/金型展2009」を東京・有明の東京ビッグサイトで開催した。同時開催は「金属プレス加工技術展2009」。288社・団体が出展、3D-CAD(部品・金型のモデリング)、CAM(金型加工用データ作成)、CAE(金型成型シミュレーション)から、放電加工機やマシニングセンタ(MC)など金型加工用工作機械、エンドミルなど切削工具、金型や工具向けの表面改質技術など、金型の設計・製造から樹脂・金属プレス金型成型による素材加工までの最新技術・製品を展示した。
デジタルカメラの非球面レンズや液晶ディスプレイ用導光板など高精度・微細で複雑形状が求められる成型加工では、金型加工には高速・高精度化とともに、生産性向上からは金型寿命を向上する耐久性が求められる。また携帯電話などサイクルの早い製品向けの金型では、短納期、低コストの製作が求められる。
開発期間の短縮やコスト低減では、サイバネットシステムが板厚分布、残留応力などの解析結果を車の衝突解析モデルにマッピングするといった発展的応用が可能な板成形解析ソフトウェア(CAE)「eta/DYNAFORM」を出展、成形初期段階で製品が持つ潜在的な不具合を検証するためのアプリケーションBSEと、金型設計のためのダイフェース、バインダー、余肉をパラメトリックに作成するアプリケーションDFEを持ち、CADにフィードバックなしでシミュレーションの結果(しわ、割れ、板厚減少など)のパラメータスタディーを可能にしている。
高精度で複雑な形状の加工では、グラファイトなどの電極材料からの放電で導電性のある金属を研削する放電加工に加えて、近年は高能率の除去能力を持つエンドミルを用いた、高速・高精度回転、高速・高送りの5軸制御マシニングセンタなどによる切削加工の適用が進んでいる。牧野フライス製作所では、5軸制御型縦型MCを出展、主軸回転は通常仕様で1万4,000 min‐1まで対応しているが、回転する主軸内部に温度制御した多量の冷却油を送り込み主軸自体を内側から冷却する軸芯冷却や、主軸内側に送り込んだ冷却油をベアリングのインナーレースに開けた穴から供給するアンダーレース潤滑を採用することで、主軸の熱変位を抑え3万min‐1まで対応している。傾斜軸・回転軸に超高トルクDDモータを採用、重量ワークの高精度な位置決めや1万8,000°/min(50min-1)の高送り・高加減速性を実現している。
オーエスジーは近年増加傾向にある微細電極用グラファイトの加工に最適な超硬エンドミル「DGエンドミルシリーズ」を出展、独自のダイヤモンドコーティングで抵抗を下げるとともに丸みの少ないシャープな切れ刃を実現、ボールエンドミルではR部と外周部のつなぎをなくしたシームレス形状により仕上げ面の段差を防ぎ加工面向上を実現する技術を紹介した。
表面改質技術では神戸製鋼所が、UBMS(アンバランスド・マグネトロン・スパッタリング)装置により高硬度、低摩擦係数DLC膜の高密着コーティング技術、真空中のアーク放電を利用したイオンプレーティングプロセス(AIP)により緻密で高硬度、高い機密性、多元系合金組成も可能な硬質皮膜コーティング技術と、それら手法により一般機械部品から樹脂成型金型、打ち抜き金型、切削工具、自動車部品などに対応する各種「BELCOATコーティング」を紹介した。
新興国を中心に安価な中国製金型の供給が進む一方で、高精度、高品質加工向けの金型では日本製の金型は依然世界の市場での評価が高く採用され続けている。そこでは、金型設計・開発の工期を短縮するCAD・CAM・CAE、高速・高精度回転と高速・高送りで高能率加工を実現する工作機械、加工の高能率・高精度を実行する加工工具、加工工具と金型の耐久性を高めるコーティング技術など、多くの差別化を図る機械関連技術が活躍している。