第21回『マーニー』

第21回『マーニー』 kat 2008年12月14日(日曜日)

 本作は、ウインストン・グラハム原作、アルフレッド・ヒッチコック製作・演出によるミステリー・ドラマである。

 マーニー(ティッピ・ヘドレン)を面接した若手社長のマーク(ショーン・コネリー)は、彼女が前の会社で金庫泥棒を働いたことに気づいていたが、彼女の魅力に惹かれるまま雇うことに。しかしマーニーはいつものように、ダイヤル式金庫を破り紙幣を盗み出す。マークは彼女の非をとがめることなく妻に迎えるが、彼女は盗癖があり赤い色におびえるだけでなく、男性恐怖症でもあった。マークはマーニーの過去に迫っていく。

 さて、ダイヤル式金庫は、一つのダイヤルが合うとある回転ディスクのノッチ(V字型のくぼみ)に別のディスクのくし型部品が落ち込んで二つのディスクがかみ合い、もう一つのダイヤルが合うとかんぬきを押さえていたレバーがノッチに落ち込んでロック機構が解除されるといったもの。

 多くは、右に30目盛り以上回すと、このかみ合わせがすべてバラバラになる。しかし、ダイヤルが合った状態から右に15?20目盛りくらい回した状態では、金庫は開かなくなるが、かみ合いが完全に外れていないため、左へ戻し指定の番号になると金庫が開く。ダイヤル合わせが面倒で右に20目盛りぐらい回して開け閉めしているケースが多いらしく、これを知っている金庫泥棒は、まず左へゆっくりと回すという。

 マーニーにダイヤル式金庫の知識があったかどうかはわからないが、彼女の美しさが金庫番のすきを作っていたということはあるかもしれない。犯罪の陰に美女あり。ヒッチコック作品の愉しみの一つでもある。