第17回『オーシャンズ13』

第17回『オーシャンズ13』 kat 2008年11月15日(土曜日)

 井戸敏三・兵庫県知事が「関東大震災は(関西にとって)チャンス」と暴言をはき、暴言キングの石原慎太郎・東京都知事に非難されているが、本作では地震を人工的に引き起こして大強奪のチャンスを作る仕掛けが登場する。

 オーシャンズのメンバーの一人、ルーベン(エリオット・グールド)はホテル王ウィリー・バンク(アル・パチーノ)に土地をだまし取られ、心筋梗塞で倒れる。ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)やラスティー(ブラッド・ピット)、ライナス(マット・デイモン)らはルーベンの仇をとるべく、バンクがラスベガスに新設するカジノホテルを狙う。ここで最新鋭のセキュリティを破るため軽い地震を引き起こすのが、トンネル掘削機(シールドマシン)である。直径10mクラスのカッタービットを持ったシールドマシンが、検知されないよう毎分6mという低速でカジノの地下まで進み、電気系統を攪乱するという。

 シールドマシンは回転するカッターを前面に取り付けた円筒形のマシンで、掘るにつれ内壁をセグメント(内貼り)で覆いながら、トンネルを作っていくもの。圧力の作用した土と水の中をカッターが回転し掘削していくため、この悪環境下で安定した回転を実現する機構が必要になる。たとえば、東京湾アクアラインを掘進した外径14.14mという世界最大級のシールドマシンでは、カッターの支持に外径7mの巨大な3列3輪の転がり軸受が、カッターの駆動に22台の55KWのモータが、装備されたという。どおりで通行料金もばか高いわけである。

 さてオーシャンたちは、英仏海峡トンネルをイギリス側から掘ったという掘削機を手に入れ掘り進めるが、カッタービットや潤滑系統のトラブルに見舞われて…。英仏海峡トンネル工事では、フランス側から掘った川崎重工業のシールドマシンが岩を破って出て来るところをイギリス側でメディアに押さえられている。しかし実は、イギリス側から掘ったイギリス製シールドマシンは2台とも、地中斜め下に潜らせコンクリートで固めている。地下鉄工事と一緒で、マシンを解体するより埋めたほうが安上がりという合理的な発想からだ。

 でも、コンクリート詰めされたはずのイギリス側のマシンをどうやって掘り起こし、使ったのだろう?「さすがトリッキーなオーシャン!」と言いたいところだが、「考えると夜も眠れない」(昔の地下鉄オチになってしまった)。