第191回 第18回機械要素技術展開催、部品や金型などの精度・性能を高める技術
第191回 第18回機械要素技術展開催、部品や金型などの精度・性能を高める技術表面改質技術やそれらの計測・評価技術に関する専門技術展「第18回機械要素技術展」が6月25日~27日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。特殊環境で高い耐久性を実現する軸受や直動案内機器の技術、エッジ品質を向上し部品や金型の精度や性能を高めるバリ取りなど加工技術、部品や金型の性能を高める表面改質技術などの最新の製品技術が出展された。
軸受の耐久性向上技術
軸受や直動案内機器など摺動する箇所では、一般に摩擦を軽減する潤滑油やグリースが必要となる。しかし食品機械や医療機器など潤滑油剤の使用を避けたい用途や潤滑油剤が洗い流される可能性のある用途などでは、潤滑油剤を補う熱処理やコーティングなどの技術が必要になる。NSKマイクロプレシジョンでは、従来のステンレス鋼SUS440C以上の耐食性を示す新開発材料TBN-6Hに独自の熱処理技術で、耐荷重性能を実現したベアリング「キャストップ」を出展した。塩水にさらされる船舶や釣具、消毒液を使用する医療機器等の酸性・アルカリ環境に抜群の性能を発揮するという。
高精度部品・金型を作る加工技術
機械要素技術展では軸受や直動案内など部品や金型の精度や品質を高める様々な加工技術が紹介されたが、中でもエッジ機能を満足させるためのバリ取り・エッジ仕上げ技術が多数出展された。
三共理化学では、バリ取りのほか、はく離、粗し・下地処理、研磨などに適用できる「ブロワ式ブラスト装置」を提案した。研磨メディアを変えることで微細バリだけを除去できるほか、薄膜、塗膜のはく離、溶接焼けなどの研磨処理、さらには下地処理として面粗度を調整することでコーティング膜の密着性を向上させる役割を果たすという。また、コンプレッサー式に比べて電気消費量が70%削減できる省エネ性、付帯設備・機器が不要なため省スペース性に優れている点などを強調した。同社はこのほか、精密研磨材「ミラーフィルム」や「ラッピングフィルム」などの展示を行ったことで、来場者からは研磨全般についての相談が寄せられた。ユニテック・ジャパンでは、プラスチック製のブラスト材を吹き付けることにより、ワークに付着した樹脂を取り除く「UNICLEAN TC-X1」の実機を出展し、デモを行った。ブラスト材がプラスチックのため、ワークにダメージを与えないことや、熱を加えることなく洗浄が行えるためガスの発生がないことなどをPRし、スクリュー、ダイス、射出ノズル、クロスヘッドパーツ、金型の洗浄に適しているとした。
コーティングなどの表面改質技術
コーティングなどの表面改質関連技術では、日本コーティングセンターが今秋から受託加工を開始する予定の量産対応可能なダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング「Try-F(仮称)」を紹介した。新成膜方式により1~3μm厚の高硬度で密着性の高いDLCコーティングを樹脂やゴムなどの軟質材、真鍮などの軟質金属にも成膜できるという。
また、日本マクダーミッドでは、LDS工法で成形された部品に対して選択的めっき析出性を実現、ファインピッチめっきやワイヤボンディングなど高スペックに対応したMID(Molded Interconnect Devices)めっきプロセスを紹介した。BMW Z4ステアリングスイッチなど多くの実績を持つという。
H.E.F DURFERRIT JAPANと共同出展したナノコート・ティーエスは「セルテスDCY」を紹介。新プラズマ源採用により180℃以下の低温でDLCコーティングが可能で、PVDとプラズマCVDのハイブリッドプロセスにより高密着を実現した。また、鋼と強い密着力のCr系下地層と、靱性に富んだバッファー層で耐荷重性・耐衝撃性が向上し、高面圧・繰り返し衝撃でもはく離しないとした。清水電設工業は、硬さHv3500の耐摩耗性と耐熱性に優れた「ZERO-1」コーティングを中心に、各種コーティングを冷間鍛造や冷温間プレス、抜き金型などの用途に向けて提案した。
不二WPCでは、金属の疲労強度向上と微細なディンプルを付与するショットピーニング「WPC処理」処理や、金属加工の最終仕上げとして用いられる鏡面加工「3Dラッピング」、安定した密着力でナノレベルの薄膜を成膜するDLCコーティング、各処理の複合処理による機能向上などを紹介した。