第01回 動弁機構

第01回 動弁機構 admin 2008年7月28日(月曜日)

 2012年以降に日米欧で一斉に強化される燃費規制に対し、ハイブリッド車やクリーンディーゼル車などの開発が進められる一方で、自動車各社ともガソリンエンジンの性能を上げる先進技術の開発にしのぎを削っている。中でもディーゼルエンジンで一般的な、シリンダー内に燃料を直接噴射する「直噴化」、不要なシリンダーの動きを止める「気筒休止技術」、小型エンジンにつけて燃費を悪くせずに大排気量エンジンと同じ出力を得る「過給器(ターボチャージャーなど)」、停車時にエンジンを自動停止する「アイドリングストップ」、エンジン内の燃焼に使う空気の量を効率よく調節する「可変バルブ機構」などの取り組みが各社とも一致した動きのようだ。

 今回は、可変バルブリフト機構など動弁機構を取り上げる。

 日産自動車は新型「Infiniti G37 Coupe(日本名スカイラインクーペ)」に、連続可変バルブタイミング機構と吸気側の可変バルブリフト機構を組み合わせた「VVEL(Variable Valve Event and Lift)」を採用した。トヨタは「ノア/ヴォクシー」で、ホンダはフルモデルチェンジした「アコード」で、同様の機能を実現する可変バルブ機構を採用した。ところで日産のVVELでは、燃費がベースエンジンよりも約10%も向上しているという。これは、従来のスロットルバルブではなく、吸気バルブで吸入空気量を直接コントロールすることで、吸気抵抗(ポンピングロス)を低減するとともに、中低負荷運転時に吸気バルブリフト量を小さくしてカム駆動摩擦を低減したため。エンジンの直噴化(理論混合比の場合)や、無段変速機(CVT)の採用が単独ではそれぞれ5?8%程度の燃費向上なのに対して、燃費向上効果が大きい。

 車種は明らかにしていないが、日産ではこの動弁機構部品であるバルブリフターにダイヤモンドライクカーボン(DLC)という摩擦の小さい皮膜を処理したことで、約1%の燃費向上を実現したという。このDLCをピストンリングやピストンピン部に採用することで約3%の改善を目指すとしている。