第156回 ネプコンジャパン2012/オートモーティブワールド2012に見る省エネ・創エネ表面改質技術
第156回 ネプコンジャパン2012/オートモーティブワールド2012に見る省エネ・創エネ表面改質技術1月18日~20日、東京・有明の東京ビッグサイトで、アジア最大のエレクトロニクス製造・実装技術展「ネプコンジャパン2012」 (インターネプコン ジャパン、エレクトロテスト ジャパン、半導体パッケージング技術展、国際 電子部品 商談展、プリント配線板 EXPO、先端電子材料EXPO、精密 微細 加工技術 EXPOから構成)と、「オートモーティブ ワールド2012」(国際 カーエレクトロニクス技術展、EV・HEV 駆動システム技術展、クルマの軽量化 技術展から構成)、「次世代照明 技術展」が同時開催された。
ネプコンジャパンでは、年々進むエレクトロニクス機器の高機能化・高性能化を支える、最新の製造技術・実装技術が出展され、オートモーティブワールドでは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)などの最新の自動車技術やエンジン車の燃費改善につなげる軽量化手法などが示された。いずれの展示会でも、レアアースなどの高価な材料技術によらず表面を改質することで、機械的特性や電気特性を改善する表面処理技術が展示された。
インターネプコンでの出展をみると、たとえば低摩擦・耐摩耗性に優れるダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングでは、ナノテックヴァルト( http://www.nanotec-jp.com/wald/ )が、DLCコーティングをベースに第三元素を膜中にドーピングし、低摩擦、高硬度を維持しながら、高耐久性・撥水性・耐熱性などの付加価値を加味したICF膜による生産性の向上を提案した。
DLC膜ではまた、都ローラー工業( http://www.miyako-roller.co.jp/ )がプラスチックフィルム表面上に常温で成膜できるDLCコーティングを展示、セパレータ基材への成膜で絶縁性や表面硬度を向上しリチウム電池の信頼性を高めることを示した。また、太陽光発電パネル向け塗布装置ドクターロールへのDLCコーティングの適用では、ガラス表面の異物付着低減など帯電防止機能の付加などにより発電効率向上につなげる提案を行った。
一方、オートモーティブワールドでは、新東工業( http://www.sinto.co.jp/ )が、材料・真空浸炭、ショットピーニング技術を融合し、歯車など自動車部品の曲げ疲労強度を約80%向上するプロセス技術「DASP」を展示した。最大約45%の小型・軽量化、駆動ユニットのダウンサイジングが可能となることで燃費性能向上につながることを示した。また、ロボットを使って、ばねの内径にショットピーニングを施し疲労強度を高めるデモンストレーションなども実施した。
また、フロロコート( http://www.fluorocoat.co.jp/ )では、自動車のダウンサイジングに役立つターボチャージャー部品で耐熱性や耐久性を付与、燃費改善、高効率化を図り環境規制(EU6)対応するフッ素樹脂コートを提案した。
エレクトロニクス機器のサプライチェーンの寸断で自動車生産が停止した例にみるとおり、自動車の燃費や安全のための制御にはエレクトロニクス技術が欠かせない。一方で、今なお主流のエンジン車からHEV・EVの省エネ化には軽量化が不可欠である。こうした中で、エレクトロニクス機器の効率向上を図り、自動車部品の耐久性向上により軽量化を図る表面改質技術が注目されてきている。依然、電力の安定供給が懸念される中、ここで示したような省エネ・創エネにつながる表面改質技術の動向が注目されてきている。