第73回『ザ・コア』
第73回『ザ・コア』ボストンで心臓ペースメーカーをつけた32名が同時刻に死亡したほか、宇宙では大気圏突入直前のスペースシャトル「エンデバー」が突然制御不能となった。地球物理学が専門の大学教授、ジョシュ・キーズ(アーロン・エッカート)は、その原因が地球の核(コア)の回転が停止しかかっていることを突きとめた。コアの回転は地球の周りに太陽風(スーパーストーム)熱を防ぐ電磁場を形成しているが、回転不全でその電磁場に穴が空きつつあり、放置すれば人類は1年で滅亡するという。回転させるには、原爆を使って1,000メガトンの力でコアを爆撃するしか手だてがない。ジョシュや「エンデバー」を住民の被害なく帰還させた女性副操縦士レッベカ・”べック”・チャイルズ少佐(ヒラリー・スワンク)ら6人のエキスパートを乗せた地中探査船による、前人未到の地下2,000(約3,200km)マイルへの潜行任務が始まった。
さて、この地中探査船「バージル(地獄の案内人の意)」はスーパー掘削マシンである。ロケットの発射台みたいな巨大な装置にセットされた探査船は、ロケットとは逆に海へと「打ち下げ」られる。原子力エンジンが1,000rpmで回転しながら下へ下へと推進、岩盤にあたる直前に、共鳴チューブから出る超音波レーザーで一気に岩盤に穴を開け道を作りながら進むわけである。超音波レーザーは歯の無痛治療や、輪郭矯正手術なんかに使われる、あれである。ダイヤモンドの岩なども避けながら「バージル」はコアへと近づいていくが…。
本作は2003年3月公開作品である。同年2月にはスペースシャトル「コロンビア」が大気圏再突入時の摩擦熱で断熱材が脱落、空中分解した死亡事故が起きている。米国民の批判が高まり、宇宙開発に待ったがかかったその時期に公開に踏み切ったのは、ハリウッドならではと言えよう。